しょしごと。

賛否両論、自画自賛。明日天気になるがよい。

世界がきみを見捨てても。

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18歳の頃、愛する故郷から上京して関東で一人暮らしをした。最近よくその大学の一人暮らし時代を思い起こして、美化してんなぁと思う自分がいる。あの頃、私は若かったし周りも若かった。でも不思議とそこに嫉妬も不快もなかったと思う。「あいつめんどうだなぁ」と思う人が酔っぱらった姿を見てダッシュしておいてったり、お腹すいたけど何にもない時はパン屋でバイトしてた友達に「家で飲もう」とまだ飲み終わってない鏡月と100均のウーロン茶を買っておけばバイト帰りにパンを大量に持ってきてもらいパンをつまみにして飲んでいた。お酒は怖くなかった。むしろ、飲んでも酔わなかった。楽しかったからだ。金は笑っちゃうぐらいなかったけど、楽しかった。

 

 国道沿いのアパート。6畳。北向き。家を借りる知識なんてもうとうにない私と母が選んだそこはとにかく日当たりが悪かった。トイレ風呂別は死守。そんな感じで四年間そこで過ごした。何度も模様替えをして諦めたそんな部屋だった。

私の大学はあまり独り暮らしをしている人がいなかったため、よく終電を逃した友達が夜やってきた。「汚いよ」といえば「ほんとだ。めっちゃきたねぇ」と笑われた。まぁそれでよかった。1か月炊飯器を開けなかったとき、友達が「なんかジブリだったよ」と処理してくれた。ほんと、今じゃ考えられないし、あの時の殺菌・除菌してくれた友達すごかったな。と思った。

 

花の女子大生だったはずなのに、女子大生っぽいことは何もしなかったし、女子大生っぽい部屋でもなんでもなかった。空き瓶・空き缶大量放出。本屋のバイトと繰り返される宅のみ。大学から始めた下手なアコースティックギターを持ってサークルメンバーで路上をすれば酔っぱらったサラリーマンが1000円くれる。それで居酒屋に行く。女子高生はやたら他のサークルメンバーに恋をする。この街、つまんねぇやと笑いながら上野に遊びに行けばちょっとディープすぎてくらくらした。美術館にはおかげさまでよくいったそんな4年間だった。

 

わけわかんなくて、いきなり自転車を漕ぎ始めたけどあれはハチクロに影響されただけで隣の駅までしかいけなかった。深夜のファミレスで後輩と語りまくって、会計をしようとしたらお互い財布に何も入ってなくて後輩を置いて遠いコンビニまで自転車で走ってお金をおろした。自動車教習所はめんどくさくて全然いかなかった。親が仕事を辞めていきなり上京した時には焦ったし、笑うしかなかった。バイトを増やしてたらバイト先の社員から告白されたけど奥さんいたし、女友達が「初体験が兄だった」という衝撃過ぎるカミングアウトをした時はもうわけわかんなかったし、女同士でやったことあるかみたいな話になった時はドキドキした。変な恋しかしかなかったし、変なものしか目に見えなかった。心理学なんて専攻しちゃったから周りも変だったし私も変だった。普通のことを普通ととらえちゃいけない4年間だった。

煙草を覚えたのも、お酒を覚えたのも。逃げることを覚えたのも、挑戦することを覚えたのも、全部あの頃で。あの頃は傷ついても「あ、大丈夫」とか言って立ち上がってすたすた歩いていた気がする。まぁ、美化してんだろうけど。痩せようとなんて思わなくても痩せてた。よかったなぁ、あの頃。

 

週3で焼きそばを食べた。味噌汁は作んなかった。ご飯は飲みに行けばいいと思った。バイト、レポート、ギター、飲み。そんな毎日を繰り返せばあっという間に4年がすぎとうとう卒業しその街を出る日が来た。

就職をしてしまえば、おもしろいほどに社会人になると学生の頃できなかった、買えなかったことをする。先輩が社会人になった時、寂しくなったけど多分私も後輩に寂しくさせた。お金をお金としてとらえてなかった。後輩にほいほい奢った。あの頃の金銭感覚なぞにバブリーだよなぁと今は思う。好きな物を買った。食べた。車も買った。今はもうないけど。いろんなものを買ったり、旅行したりまともな恋もした。だいぶ太ったのでダイエットを意識する毎日が始まった。これはしんどい。

 

今の方が、豊かだ。物も、自分も。なのに、どうして無性にあの頃が素敵だったと思うのはなぜだろう。大学生だったからだろうか。意味なんてなかったからだろうか。誰かから必ず「のむぞー!」て連絡がきてたからだろうか。よくだれか家にいたからなのだろうか。なんだったんだろう、あの頃は?合コンなんて一回もしなかったけどな。フェスはよくいったけど。ビール飲めるようになったのいつからなんだろう。思い出せないや。

 

栄えているようで栄えていない街。財布を落としたり盗まれたり。車でひかれたこともあった。笑ってた。なんでも笑えてた。一人暮らしとかいいながら誰かいつも部屋にいた。きっと私は一生あの頃を美化し続ける。

 

あの部屋は、寒くて冷たくていいことなんて1つもなかったけど。夕焼けが綺麗だった。西北だったのかな。あの、オレンジ色が部屋に入ってくるときに「ああ、今日も終わるんだなぁ」と思うと悲しかった。夜、独りでカフェオレを作ったら上手にできなくて少し悲しかった。

 

今は、南向き。日当たり抜群。最高のお部屋。だけど、時々あのオレンジに会いたくなる。あの時、どんな気持ちで煙草を吸いながらあのオレンジを見ていたのだろう。思出せないや、もう。でもきっとあの頃、味のしなかったカフェオレ。嫌いじゃなかったと思う。

まぁ、美化するのがクセだから今飲んだら「まずっ」て思うんだろうね。スタバに行くような人間になっちゃったから。

きっといつまでも、思い出の中にいる自分が好きだ。思出せなくなったとしても、私はあの頃の自分を愛したいな。どうしようもなく貧乏で笑っちゃうぐらいだらしなかったけど。世界がきみを見捨てても、私はきみを愛してる。だってきみは私だから。私がこうなれたのは、あの初めての一人暮らしで得たなにか、だから。

 

そんな事を思いながら少しだけ広くなった今の部屋でぼんやりと過ごす。コーヒー豆買いに行こう。カフェオレは作らない。たぶん、もう。ギターは弾かない。他のジャンルの音楽を好きになっているから。笑っちゃうでしょう。煙草もやめたし飲みになんてほとんどいかない。だから思い出の中の自分が最高に楽しんでくれていればそれでいいやあ。もう、それでいい。それだけで幸せだよ。

 

 

 

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