しょしごと。

賛否両論、自画自賛。明日天気になるがよい。

木曜日の朝、おじさんに怒られた。

 

今日は寒かった。寒いのにTシャツでは無理だとトレンチコートを着て出かけた。こないと思った台風はどうやらこちらに向かっているらしい。火曜日の朝に「台風こっちこねぇだろう」と笑っていた上司を思い出す。今日会社に行ったらきっと彼は「台風来るみたいだね」と素知らぬ顔で言うんだろう。

7時50分ぐらいだろうか。私はホームで電車を待っていた。黄色い線の内側に立ち、スマートホンで音楽を聴きながらヤフーニュースをチェックしようとしていた。耳元で歌ってくれるくるりの声が耳触りがよくてソングライン最高かよと思った。そうして手元のスマートフォンでヤフーを開いた瞬間、後ろから嫌な声が聞こえてきた。

 

「っしろよ、このやろう」

 

 

 

音楽を聴いていたのではっきりとは聞こえなかったが、後ろからどうやら私は誰かに怒られていることだけはわかった。え、この野郎?やろうってなんだろう?女子だけど。いや、32歳で女子って言うのはあれだな。女だけど。まぁ、いいか。そう思ってちらりと見ると、50代のおじさんが鬼の形相で怒っている。私は普通に並んでいたつもりだったが、なにかしてしまったのかもしれないと思ったがなにかをした記憶もない。足も踏んでない。いやいや、むしろ後ろだしね、おじさんが。そう思っていると今度は、はっきりと聞こえた。

 

スマホばっかりみてんじゃねぇよ、ちゃんと並べよこの野郎」

 

スマホとは多分手元のものだ。並べ、というのは隣の男性よりやや半歩ほど後ろに下がっていたせいだろうか?しかし電車が来るのでそんなに前に並んでも正直怖いだけだし、隣の列もこのぐらいの間隔で並んではいる。それにしてもこの野郎っていうのはどうなんだろう。うん、この野郎?あー、だめだ。ちょっとイライラしてしまう自分も。そう思って私はゆっくりとイヤホンを撮ってニヤァと気持ち悪く笑ってその人に聞き返した。

「え?え?なんですかぁ?」

 

目をじっと見た瞬間、一瞬驚いた顔をしたのでなんとなくこの人そんなに強くないなと思った。まぁわからんけど。実際に50代だろうが大人の男に殴られれば私は太刀打ちできないだろうし、持久走で決着つけてくれるタイプでもなさそうだ。

わざとゆっくりにやにやしていったのは一瞬でそういうほうがイライラするだろうなと思った。同じタイプの人が会社にいる。攻撃できる人には怒鳴り、出来ない人には何も言わないただのおじさん。そういう人は一回大きな声をだしてひるまない人に弱い。っていうか、話し戻すけど初対面の人にこの野郎ってなんだ?どういう教育うけてんだ?え?おい、おっさん。と思ったけどわけのわからないニヤニヤ女をしばらく続けることにした。

 

「だからぁ、ちゃんとならべっつってんだろ!もう半歩前にいけんだろ!?スマホばっかみてねぇでよぉ!このバカ野郎!!」

 

イライラがピークに達しているようだ。まぁね、ここが朝の激込みホームだったらわかるよ?でもさ、どう考えたってラッシュ前であなた以外私の後ろにいないですし、あと半歩前にいったらいくら黄色い線の内側だと言われようが怖いじゃないですが。っていうか、バカ?バカなんです?私?この人、親に人のことバカっていっちゃいけないって教えられなかったのかな。まぁ、私より年上だけど。と今では思う。けど、その時は一応私もニヤニヤを守るのを必死だったのでニヤニヤ族として言葉を続けた。

 

「えーっと、半歩前ってことです?」

「だからぁ!!スマホみてんじゃねぇよ!!」

 

どうやら怒りの矛先は私のひび割れたiphone8にあるらしい。まぁね、最近huaweiもいいかなと思ってるところではあるけれど、まだまだ私の愛しいスマホだ。悲しいかな現代人。スマホがないと生きていない。まず改札を出れない。そう、モバイルsuicaだからさ。

いやそうじゃなくて、なんかよくわからんけど今思えばこのおじさんはスマホに恨みがあるかの如く私がスマホを見ているのにイライラしているようだ。もしかして、まだガラケーなのか?それはそれでよくない?

いやいや、考えるにあたってあれだ。多分、きっとそう。

定年間近、職場ではみんなスマホとパソコン。昔は「〇〇さん、教えてください!」と後輩たちが言ってはきたが、今じゃみんなグーグルに聞いていく。むしろ自分がパソコンの操作を聞く始末。「最近の若い奴は俺の話きかねぇんだよ」と飲み屋で愚痴っては夜帰ると、お茶漬けもだしてくれない家内。たまに早く帰ると煙たがれる。健康のためとたばこはやめ、お酒も控え少なくなった給料ではゴルフにもいけない。娘は反抗期がまだ続いているのか話しかけても、手元のスマホばっかり。「なんだ?ゲームか?勉強しろよ」と余計な一言をいってしまい、「うざ」と言われてしまう。

そんな毎日の中、道を歩けばスマホを見ている若者にぶつかりそうになる。ああ、この世からスマホがなければ…なければ…!

 

「だから、スマホみてんじゃねぇよ!」

 

ってことですか。なるほど、理解です。つまり、当たりやすかったんですね、私が。うーんわかる!こわいもんねぇ、周りの男の人とかね!目の前の黄色い内側からやや離れた女にあたってみたんだー!わかるよーー!だって、怖いもんね。女は弱いもんね。すいません、って言ってほしいんですよね?わかる。

 

いや、わかんねぇ。

私は嫌な事があって誰かに当たらないように心がけているし、何かトラブルがあってもまず相手のことをこの野郎って言わない。注意ってそういうことじゃない。この野郎とか、バカ野郎とかその言葉をつけた時点で、その時点でそれはイチャモンつけてるってことだ。

 

でも絶対にこの野郎とか言い返したくない。そもそも、隣にいる男性がひいてるし、通りがかったOLがそそくさと逃げてる。申しわけない、あと3分ぐらいで電車はくるからこいつとは離れよう、グッバイ。

 

「それじゃあ、ここどいたほうがいいですかぁ?」

「え?」

「いや、だから、どっかいきますんで、ここどいたほうがいいですかぁ?」

 

思いっきりの笑顔。そして下から見てやった。身長大して変わらないから苦労するよ。ゆっくり話してあげなきゃイライラしないだろうなぁと思って殴られる覚悟でおもいっきりバカにしてやった。まぁ、バカ野郎だからね、バカっぽいのがいいじゃん。

 

「なんなんだよ!どっかいけよ!バカ野郎!!!」

 

そう叫んだおじさんの顔を見て、なんていうか昨日の今日だけど秋田に帰りたいなと思った。まぁ、秋田に帰ってもこういう人はいるんだろうけどね。

 

「わかりましたっ…ふっ、は!」

 

そういって私はほかの車両にむかったが、ちょっとむかついたので思いっきり笑ってやった。キチガイじゃん、私ってぐらい。そうすると私が笑ったのがわかったのかおじさんは何も言えずそっと前に並んだ。私と同じ黄色い線の内側、半歩さがったところで。

位置、かわんなくね…?

 

 

なぜ朝から他人を罵倒する人がいるのかそう言う人は多いのか不思議で検索していたら2駅乗り過ごして会社にはギリギリだった。

 

ま、ある意味いい経験だったのかもと思うけれど、二度と経験はしたくない。ホームではスマホはいじらないほうがいいのかわかんないけれど。何が正しいのかわかんない時はグーグルに検索しても教えてくれない。誰に聞いても意見はバラバラだ。だから、自分なりのルールを柔軟に変えながら生きていかなきゃいけないね。面白いようでめんどくさい世の中。それでも、私が生きるこの時代はわるくはないと思うけれどね。

 

まぁ、実際私は煽ってしまったし、無視できなかった。客観的に見たらただのヘラヘラしたやつだった。スマートじゃなかったかなと思う。けれど、無視するのはなんか違うと思う。冷静に対応したいと思った。そう思いながら、飲んだビールはおいしくて、くるりの新アルバムはやっぱり最高だった。

今日も一日楽しかったなと思う。だってもう最高の笑い話。まぁ、申しわけないけれどね。

嫌なことあっても楽しくても、それぞれの世界をそれぞれの楽しみ方で生きていかなくちゃね。そのために音楽とか趣味はあるもんだよなぁ。

 

ハァーヨイショ!

 

 

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